ホタルブクロが運んだ歴史

 

 ホタルブクロという花をご存知でしょうか。

 

 

4月から5月頃にかけて、連なった釣り鐘のような形の花を咲かせます。

 

並んでおじぎをするように咲いているホタルブクロの花々が風に揺れるさまはとても愛らしく、目を引かれます。

 

 では、その花を支えて引き立ててくれている、ホタルブクロの“葉っぱ”を、よく見たことはありますか?

 

ホタルブクロの葉は、丸く大きなハートのような形。葉の付根から外側へ、しっかりとした葉脈が確認できます。

 ところでこのホタルブクロの葉っぱ。ハートのような形を3枚くっつけると、何かに似ていると思いませんか?三つ葉クローバー?…にも見えるけど…その葉っぱを逆にして見てみると…「葵の紋」のようではありませんか?

ホタルブクロはキキョウ化の植物ですが、葉の形は葵の葉ともよく似ています。

 

 

  「葵の紋」は徳川家の家紋。そして、長崎公園でホタルブクロが見つかったのが2015年――徳川家康400回忌の年。家康公の想いが、ホタルブクロを運んできくれたのか…何かの因果を感じますね。

 

 ちなみに長崎公園には、園路に石造りの門がありますが、その石門に刻まれているのも「葵の紋」。かつてはここに長崎奉行所があった名残りだそうです。

 

 ホタルブクロ…改めて、長崎公園の歴史の深さを感じさせてくれた植物でした。